Adobe MAX 2019で発表されたIllustrator iPad版のプレリリース版テストユーザーをAdobeが募集していたのでエントリーしていたのですが、やっと使えるようになったのでレビューします。ベータプログラムの参加資格は、iPad ProとApple Pencilを持っている方が対象となっていました。Photoshop iPad版に続いてのリリースとなりますが、やはりIllustratorですから、ベジェ曲線の描画精度とオブジェクト編集の操作性がポイントになるかと思います。
iPadのSidecarを使って、Macで起動したIllustratorをiPadで操作した時にも予想外に使い心地がよかったので、かなり期待しております。Adobe MAX 2019でのプレビュー版で用意されていたツールは「選択ツール」「ペンツール」「鉛筆ツール」「長方形ツール」「楕円形ツール」「円弧ツール」「文字ツール」「アートボードツール」、パネルとしては「アートボードパネル」と「プロパティパネル」「パスファインダパネル」があったようです。その時の目玉機能として、リピート(繰り返し)機能やシンメトリー(線対称)機能がありました。またカメラから取り込んだラフ画像を自動でパスに変換する機能も紹介されていました。
インストール
App Storeからインストールできます。
https://apps.apple.com/jp/app/id1018784575/
Illustrator iPad版のツールバー
デスクトップ版Illustratorを使ってことがあれば、読み込み/クラウドドキュメント以外はおなじみのツールたちです。デスクトップ版と使い勝手が違うツールもありますが、Apple Pencilとの組み合わせでとても気軽に描画することができます。
Illustrator iPad版のタスクバー
デスクトップ版でいうところのパネル類ですが、プロパティ、レイヤー、ガイドとグリッド、シェイプを結合、編集、オブジェクト、文字、パス、リピート、整列と並んでいます。これらもデスクトップ版Illustratorの経験があれば戸惑わずに使えると思います。
使ってみての感想など
アドビのプロツール群の裾野を広げるという立ち位置としては、このIllustrator iPad版はアリなんだと思います。長くグラフィックソフトの講師をしていますが、Illustratorという呼び名からワクワクしながら使い始めた生徒たちの多くが苦労して習得していく姿を見てきました。もちろんそれが当たり前の姿なのですが、アプリケーション操作で挫折してしまうなんて勿体ないです。苦手意識を持ってしまう前に、iPad版を使ってみることで苦手意識を持たずに始められることができそうです。
たしかにデスクトップ版のような高度なプロツールとしてみると足りないことが多いですが、Creative Cloudストレージ経由でデスクトップ版と簡単に連携を取ることができますし、iPad + Apple Pencilの組合せが思考をストレートにビジュアル化することを楽しませてくれます。欲を言えばデスクトップ版の簡易版という使い方ではない、別の何か、新しいソリューションが加わるともっと可能性が広がっていくと感じています。