InDesignはCS5からEPUBを書き出した際のフォントのエンベッド(埋め込み)の仕様が変わり、フォントのサブセット(実際に使用している字形のみ)が埋め込まれるようになりました。
EPUB書き出し時のCSSの項目に「埋め込みフォントを含む」にチェックすることで、ドキュメント内の使用フォントのサブセットが埋め込まれます。
InDesign CC 2014からの「固定レイアウトEPUB」の書き出しでは、フォントのエンベッドの設定項目は無く、ドキュメントで使用しているフォントが強制的にEPUBにエンベッドされます。
サブセットのエンベッドであれば、データ容量も軽いですし、複雑なレイアウトができる固定レイアウトEPUBでは意図したフォントで表示できるメリットは大きいです。
しかし、フォントメーカーの使用許諾はどうなっているのか気になりました。PDFもサブセットが埋め込まれるので問題ないようにも思いますが、EPUBは簡単に解凍して中にアクセスできてしまいますしね。
フォントメーカーのサイトで調べたところ、メーカー毎に違うようです。
モリサワ「商業利用に関して」
http://www.morisawa.co.jp/font/products/terms/commercialUse.html
FONTWORKS「電子書籍におけるLETSフォントの使用許諾範囲」http://fontworks.co.jp/news/2011/07050439.html
DynaFont「使用許諾について」
http://www.dynacw.co.jp/licensing/purpose/tabid/162/Default.aspx#1381
「モリサワ」は、私が探した範囲では電子書籍へのエンベッドに関しての記述は見つけられませんでした。
「FONTWORKS」は、明確にサブセットでの電子書籍へのエンベッドは使用許諾の範囲内だと明記しています。
「DynaFont」は、電子書籍向け年間ライセンスとして有償にてサブセットのエンベッドを許可しています。OpenTypeFontの場合は、年間10,000円/1PC(税別)。
「イワタLETS」「ニィス」「タイプバンク」は使用許諾の電子書籍の扱いに関する記述を見つけることができませんでした。
調べた範囲では「FONTWORKS」であれば、安心してEPUBにサブセットを埋め込むことができます。
現在、「モリサワ」と「DynaFont」へ問い合わせメールを送ってますので、返信があればお伝えしようと思います。
2014年6月30日 追記
モリサワのサポートから返信がありましたので、追記致します。
「EPUBでのフォント埋め込みはライセンス許諾外のためご利用いただくことができません。
ご期待に添えず誠に申し訳ございませんが、悪しからずご了承下さいますようお願い申し上げます。
画像化、PDFに埋め込んだデータを電子書籍にご利用いただくことは可能でございます。」
残念ながら、モリサワのフォントを使用する場合は、画像にして利用するか、PDFに埋め込んだデータを利用するしかないそうです。
InDesign CC 2014を利用する場合は、テキストをアウトライン化することで画像としてEPUBに書き出されるので手数は掛かりませんが、EPUBのデータ容量が大きくなりますし、今後デバイスの解像度が更に高解像度化した際に解像度を変更してリリースする手間が掛かります。
モリサワのフォントを利用されている方も多いと思いますので、画像化せずに書き出したEPUBにフォントを埋め込まないように気をつけましょう。
また、InDesign CC 2014から固定レイアウトEPUBを書き出した場合は、画像化していないフォントは強制的に埋め込まれてしまいますので、EPUBを解凍して埋め込まれたフォント(サブセット)を削除する必要があります。
更に追記
イワタのサポートからも返信がありましたので、報告します。
「弊社シングルパッケージフォントを使用した電子書籍を販売する場合は別途使用許諾が必要になります。許諾内容は電子書籍を販売された価格の0.5%を使用許諾料としてお支払い下さい。」
モリサワと違い別途使用許諾で利用できるそうです。販売価格の0.5%とのことですから、良心的な価格かと思います。
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